ミラドライ

  • HOME>
  • ミラドライ

ミラドライとは?

ミラドライとは?

ミラドライは、皮膚を切らずに行う多汗症・ワキガ治療(医療機器)です。

外科的な手術とは異なり、脇にメスを入れることがないため、傷跡が残る心配がありません。

この治療では、マイクロ波を利用して、脇の真皮深層から皮下組織浅層にかけて存在するエクリン汗腺やアポクリン汗腺を加熱し、焼灼・凝固させることで、発汗やニオイの原因を根本から抑えます。

切らない治療のため、ダウンタイムも軽く、施術当日からシャワーが可能です。運動は1週間後から再開でき、術後の通院も基本的には必要ありません。

ミラドライの効果

ミラドライの効果は、「多汗症重症度スケール(HDSS)」を用いた臨床試験により評価されています。

この試験では、発汗を抑えきれず日常生活に支障をきたしている原発性腋窩多汗症の患者を対象にミラドライ治療を実施し、その有効性を検証しました。その結果、治療後に腋の発汗が抑制され、日常生活の支障が改善されたと報告した患者は90.3%にのぼり、この効果は治療から1年経過した後も持続していることが確認されました¹。

さらに、治療に対する全体的な満足度は90%以上と高く、腋の臭いに関しても統計的に有意な改善が見られるなど、ミラドライの効果が明確に示されています。

臨床試験の概要

被験者:
原発性腋窩多汗症を有し、「多汗症重症度スケール(HDSS)」でスコア3または4に該当する成人31名を対象に実施。

治療内容:
対象者に対し、6か月間に1〜3回のミラドライ治療を実施。

試験結果:
31名中26名が12か月後までのフォローアップを完了。HDSSスコアが1または2に改善した被験者の割合は、治療後30日で90.3%、3か月で93.6%、6か月で90.3%、12か月でも90.3%と、持続的な効果が確認されました。

また、全体的な患者満足度は高く、各評価時点で90%以上の被験者が治療に満足と回答。さらに、腋の臭いに関する評価では、治療前と比較して「腋の臭いが気にならない」とする報告が統計的に有意に増加し、消臭効果も認められました。

参考:原発性局所多汗症の重症度判定 (Hyperhidrosis Disease Severity Scale/HDSS)

HDSSは、発汗の程度とそれが日常生活に与える影響を4段階で評価するスケールです。

スコア1: 発汗はまったく気にならず、日常生活に支障はない
スコア2: 発汗はあるものの我慢でき、日常生活に時々支障がある
スコア3: 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
スコア4: 発汗をまったく我慢できず、日常生活に常に支障がある

参考文献

1) Hong, H. C. H., Lupin, M., & O’Shaughnessy, K. F. Clinical evaluation of a microwave device for treating axillary hyperhidrosis. Dermatologic Surgery , 38(5), 728-735, 2012

シングル照射とダブル照射の違い

ミラドライのシングル照射とダブル照射の大きな違いは、照射の回数とその効果の強さにあります。シングル照射はワキ全体に一度だけ照射を行いますが、ダブル照射は同じ範囲に二度照射を行う方法です。そのため、ダブル照射のほうが汗腺の破壊率が高く、シングル照射よりも高い効果が期待できるとされています。
詳しくは下記をご覧ください。

照射回数

・シングル照射:1回照射
・ダブル照射:同じ範囲に2回照射

効果

・シングル照射:汗腺破壊率は約70%
・ダブル照射:汗腺破壊率は約90%

メリット

・シングル照射:施術時間が短く、ダウンタイムも短い
・ダブル照射:より高い効果が期待でき、汗や臭いを効果的に抑制できる

デメリット

・シングル照射:汗腺の破壊が不十分な場合がある
・ダブル照射:施術時間が長く、ダウンタイムが長くなる場合がある

まとめ

ミラドライのシングル照射とダブル照射は、どちらもワキ汗やワキガの改善に効果的な治療法ですが、一般的にダブル照射の方がより高い効果が期待できるとされています。効果の持続性やダウンタイムには個人差があるため、自分の症状やライフスタイルに応じて、どちらの方法が適しているかを医師とよく相談して決めることが大切です。

その他治療方法とミラドライの違いとは

脇のボツリヌストキシン注射(ボトックス注射)

ボツリヌストキシン注射は、A型ボツリヌストキシンという天然のたんぱく質を有効成分とする薬剤を、皮膚に直接注射することで、発汗を一時的に抑える治療法です。
私たちが汗をかくとき、エクリン汗腺という汗腺に向けて、「アセチルコリン」という神経伝達物質が神経の末端から放出され、「汗を出せ」という指令が送られます。
ボツリヌストキシンは、このアセチルコリンの放出を抑えることで、汗腺への指令をブロックし、発汗を抑制します。これにより、エクリン腺からの汗の量が減少し、結果としてニオイの軽減にもつながることがあります。

ミラドライとの違い

ボツリヌストキシン注射は効果が一時的であり、定期的な通院や費用が負担になることもあります。(効果の持続は約4〜9か月とされており、年に1〜2回の注射が必要です。アラガン社製のボトックス(100単位)を使用する場合、費用は7〜8万円程度が一般的です。)
その点、ミラドライは一度の治療で長期的な効果が期待できるため、繰り返しの通院が難しい方や、トータルコストを抑えたい方にはミラドライの方が適している場合もあります。

また、痛みに関しても、ボツリヌストキシン注射の方が強く感じるとおっしゃる患者様も多くいらっしゃいます(個人差あり)。

アポクリン腺の切除(日帰り手術)

治療方法は、脇の皮膚を切開し、皮膚をめくった裏側からアポクリン汗腺を中心に、汗腺を含む層を切除していきます。

ただし、汗腺を多く取り除こうとすると、皮膚が薄くなりすぎて壊死や感染といったリスクが高まるため、取り除ける範囲には限界があります。特に、エクリン汗腺(汗の量を調整する汗腺)は表皮に近い位置にあるため、完全な除去は難しく、基本的にはアポクリン汗腺を対象とした「ワキガの治療」が中心となります。

ミラドライとの違い

手術は確実性が高い治療ですが、身体への負担やリスクが伴います。

・傷跡が気になる方

・術後すぐに社会復帰されたい方

・複数回の通院が難しい方

上記に当てはまる方には、皮膚を切らずに汗腺を破壊できる「ミラドライ」が効果的で、現代のライフスタイルに合った治療法として選ばれる方が増えています。

ミラドライ施術の流れ

STEP1 マーキング第一段階

広範囲ダブル照射の発汗テストを行わない場合、照射範囲は脇毛や有毛部から決定します。発汗テストを行う場合、発汗箇所が明確に特定できた際には、その結果をもとに十分なマージンを取って照射範囲を決定します。十分なマージンを考慮したテンプレートサイズを設定し、照射エリアを油性マジックで囲んで印を付けます。(60幅のテンプレートを使用する場合は、テンプレートを配置する位置を決め、印を付けます。)

 

 

 

 

 

 

STEP2 脇の局所麻酔

当院では、インジェクションプレートに長さ4mmの極細針7本を取り付け、皮膚に垂直に穿刺する方法で麻酔を行っています。片脇12〜14回程度の穿刺が一般的です。最初の4回ほどは少し痛みを感じるかもしれませんが、麻酔液が周囲に広がることで、徐々に痛みが和らぎ、最後の方では「刺された感覚がほとんど分からなかった」とおっしゃる方も多いです。
打ち漏れを軽減するためには、麻酔を先に行い、その後にテンプレート(転写シート)でマーキングを行う順序が推奨されています。当院では、この手順に従い、麻酔を最初に行っています。

STEP3 マーキング第⼆段階

麻酔が終了した後、テンプレート(転写シート)をアルコールで肌に転写し、詳細なマーキングを行います。これにより、各照射位置が決まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

STEP4 ミラドライ照射

転写シートでマーキングした印にチップの印を合わせ、機械で照射を行います。麻酔が効いているため、基本的には痛みを感じることはありません。中には、眠っている方もいらっしゃいます。照射作業に集中していただくため、この段階からすべての方に目元にタオルをかけさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

STEP5 クーリング

照射後は、アイスパックで脇を15〜20分間冷却します。また、ご自宅用に常温のアイスパックを2個お渡しします。特に初日には冷却を行うことで痛みの感覚が和らぎますので、ご自宅でも保冷剤の予備を準備しておくことをお勧めいたします。

 

 

 

 

 

 

STEP6 ご帰宅

所要時間は、カウンセリングや冷却を含めて、広範囲ダブル照射で約4時間〜4時間半、発汗テストを行う場合は約4時間半〜5時間程度です。施術が短時間で終わることを謳った広告を見かけることもありますが、1回の施術で最大の効果を得るためには、じっくりと時間をかけて照射を行うことが重要です。

ミラドライ治療をご検討中の方への注意点

術後の注意点

当日は、麻酔の影響により、自動車・バイク・自転車の運転に支障をきたす可能性がありますので、運転はお控えください。翌日以降も痛みや腫れが強い場合は、腕をスムーズに動かせるようになるまで運転を控えてください。

シャワーは3日間、浴槽には入らず、シャワー浴のみとしてください。その間は、朝晩2回、ボディソープの泡を使って脇を手でやさしく洗ってください。

飛行機の利用、登山など気圧の変化がある場所への移動、および飲酒は、術後3日間は避けてください。

運動、肩のストレッチ、脇のマッサージ、重い物を持つといった行為も、1週間は控えてください。1週間後から、様子を見ながら徐々に再開してください。

痛みや不快感がある場合は、術後2〜3日は、数時間ごとに15〜20分を目安に、当院でお渡しするアイスパックで冷却してください。

また、術後3日間はシェービングや制汗剤の使用を控え、治療部位に刺激を与えないよう、ゆったりとした服装を心がけてください。

 

ミラドライの効果は、治療直後から実感される方が多いですが、効果の現れ方には個人差があります。術後に特別な問題がなければ、通院の必要はございません。

術後にご不明な点や気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

多くの方は1回の治療で効果を感じられますが、より効果を高めたい場合は、2回目の治療(シングル照射を推奨)も可能です。その際は、6か月以上空けての施術をお勧めしております(再施術には別途費用がかかります)。

ミラドライのリスク・副作用・ダウンタイム

【通常の経過としてよく見られる症状と対処法】

(※あくまで目安であり、症状の程度や持続期間には個人差があります)
・治療部位のむくみ(浮腫):1〜8週間程度
→ 経過観察で自然に改善することが多いです。

・治療部位の痛みや押すと痛む感覚(圧痛):2〜3週間程度
→ 消炎鎮痛剤の内服やアイスパックによる冷却で対応可能です。

・治療部位やその周囲の感覚の変化(しびれ・鈍さなど):1〜12週間程度
→ 経過観察で改善することがほとんどです。

・注射や吸引による皮下出血(内出血):数日間
→ 特別な処置は不要で、自然に吸収されます。

・治療部位の一時的な隆起や硬さ(硬結):4〜6週間程度
→ 経過とともに改善します。

・麻酔液の浸潤による腕や側胸部の腫れ:1〜2週間程度
→ 経過観察で自然に引いていきます。

【まれに見られる副作用と対処法】

・治療部位の硬化(タイトバンド様、すじ状の硬さ):8週間程度で改善傾向
→ やさしいマッサージやストレッチを行ってください。まれに腕の動きが制限される場合もあります。

・感染:1週間〜個人差あり
→ 抗菌薬での治療が必要になる場合があります。

・膿瘍(うみがたまる):2週間〜個人差あり
→ 切開・排膿および抗菌薬による治療が必要になることがあります。

・腋の小さなしこりや結節:約2か月
→ 多くは自然に軽快しますので経過観察となります。

・治療部位の違和感(しびれ等):数か月〜1年以上かかる場合も
→ 経過観察となります。

・軽度の熱傷(1〜2度程度):約2週間
→ 冷却、外用薬、創傷被覆材の使用で対処します。

・腕や指の脱力感:数か月〜1年以上かかることがあります
→ 経過観察にて様子を見ます。

・局所麻酔など使用薬剤に対するアレルギー反応:
→ 症状に応じた対処が必要となります。

以下の⽅はミラドライをお受けいただくことができません

・⼼臓ペースメーカーや他の電⼦機器が体内に埋め込まれている⽅
・腋窩付近に⾦属製のインプラントなどの⾦属が埋め込まれている⽅
・刺⻘のある⽅
・治療部位に悪性腫瘍、または悪性⽪膚腫瘍がある⽅
・妊娠中、または妊娠の可能性がある⽅、授乳中の⽅

以下の⽅は、施術をお断りする場合がございます

・広範囲リンパ節郭清手術や腋窩切開による乳房再建術を受けたことがある方

・非常に痩せている方、皮下脂肪が少ない方(神経が浅い位置にあるため、神経障害のリスクが高くなります)

・免疫力が低下している方、または免疫抑制剤・抗凝固薬など治癒を妨げる薬を服用している方

・ケロイド体質の方など、創傷治癒に問題がある方

・肥満の方(皮膚の張りにより、機器での吸引が困難な場合があります)

・治療部位に皮膚疾患(湿疹・乾癬・感染・できもの・イボ・隆起したほくろなど)がある方

・治療部位に極端な凹凸があり、マーキングが困難な方

・大豆アレルギーのある方(テンプレートのインクに大豆由来成分を含みます)

・アトピーまたはアトピー体質の方(過去の症状や脇以外の部位も含みます)

※過去に剪除法や何等かの脇の施術を受けたことのある⽅は個々に判断しております。
詳しくはご相談ください。

お電話

0797-31-5112

アクセス